この講座について
奈良女子大学理系女性教育開発共同機構では、
高校生に向けて、高校の履修範囲から少し背伸びをして、
専門的な内容を提供する高校生講座を開講しています。
この講座では、生物学の中から特に進化生物学や
多様性生物学に焦点を当てた内容を予定しています。
生物多様性が生まれる仕組み
この世に存在する生物は、気の遠くなるような長い年月をかけて多様化してきました。
現在も生まれ続けているこの生物多様性ですが、多様化する過程には、
DNA配列の突然変異や遺伝などの目に見えない事象から、
生物と環境、もしくは生物同士の関わりなど様々な要素が関わっています。
また一口に「生物多様性」と言っても、大小様々な枠組みがあります。
様々な多様性形成のパターンが存在し、研究されてきました。
DNA配列を解読する技術が進歩し、より詳細な仕組みがわかってきています。
講義で時間の許す限り解説したいと思います!
講座で予定している内容
この講座では、大きく分けて2つのセッションを予定しています。
セッション1(Day1):多様性生物学や進化学の講義
講師による講義を受けていただきます。生物が多様化する仕組みを、ミクロ生物学の内容からマクロ生物学の内容までひと繋がりの流れでお話しします。「DNAとはなにか?」や「遺伝とはどんな仕組みか?」といった基礎的な内容から解説しますので、生物を履修していない生徒の方でも問題ありません。また、基礎的なお話しをした上で、身近な多様性を含めた学術研究の例を取り上げて、より専門的な内容についても解説します。
セッション2(Day2):講義内容を受けての発表と議論
講義の内容を受けて、参加者が興味をもったテーマをそれぞれ設定してもらい、2日目までの1週間に調べ学習と独自の考察をまとめていただきます。まとめていただいた内容は2日目に発表していただき、参加者全員で議論しましょう。(もちろん、テーマ設定や調べ学習のアドバイスもしますのでご心配なく!)堅苦しくなく、みんなでワイワイできればと思っています!
講師について
若林智美(特任助教)
専門は植物の進化学や多様性生物学で、特に種内の多様性に着目した環境適応の研究を行っています。
私は高校生の頃から科目としての生物も好きだったのですが、進化や多様性の研究をしていると、カリキュラムの中で分けて学ぶ「細胞分裂」や「遺伝」と、「進化」や「多様性」の内容は密接に関連していることを実感します。これらの内容について、興味のある高校生を対象に、一つの連続した流れで学んでもらう機会を設けたいと考えていました。
また、コロナ禍でなかなか高校生どうしの交流が難しい中ですが、この機会に離れた場所にいる高校生どうしでも、一緒に学び議論することで、お互いに刺激となるような体験をしてもらえればと思います。